面白い生き物の生態や飼育方法などを紹介するちょっと変わった生き物図鑑
瓶詰されているサナダムシ

寄生虫として有名なサナダムシ。一昔前には悪者扱いを受けて徹底的に駆除されたんだけど、実は寄生虫が宿主のアレルギーを抑制してくれていたのでは!?なんてトンデモ論文が出てきたんだ。

 
ハカセ
何じゃそりゃ!?と思うかもしれないけど、根拠もしっかりとしていて説得力のある論文なんだ。

その説を提唱したのは日本人で、何と論文の正しさを証明する為に、自らサナダムシを飲み込んで実験を続けている。

カイチュウ博士こと、 藤田紘一郎先生である。

サナダムシの全容
出典: GENERAL KNOWLEDGE BOOSTER, What is tapeworm

サナダムシの面白さ

人体の消化管に生息する寄生虫の一種。最大で10mの個体も確認されている。 口や消化管を持っておらず、体表から栄養分を吸収する事が出来る。

人間への感染ルート

主な感染ルートは以下となっている。

  1. サナダムシに寄生された人間の糞便が川へ放流。
  2. 川の微生物が糞便を食べる。
  3. その微生物を魚が食べる。
  4. その魚を他の人間が食べる

古くから人間と共生

今の日本では下水が整備されて、川に糞便が流れなくなったので、感染する可能性はほとんど無い。 しかし、川で排便をしている原住民族は、今でも殆どの人が寄生虫に寄生されているという。

先進国以外では下水が整備されていない国も多く、水を飲んで寄生虫に寄生されるなんて日常茶飯事なんだ。そもそも長い人類の歴史を考えれば、体内に寄生虫がいない今の方が不自然な状態とまで言えるかもしれない。

アレルギーがない先住民族

アマゾンの先住民族などは、今でも排便した糞便が流れる川で水遊びしたり、川の水で料理を作ったりしている。実際に彼らを検査をしてみると、ほぼ全員の身体から寄生虫が確認された。

出典: ナスDの大冒険YouTube版, 【#15】

ところが不思議なことにアトピー性皮膚炎や花粉症・気管支喘息などの、アレルギー性疾患を持っている先住民は一人もいなかったのである。

 
ハカセ
逆に日本では寄生虫が消え始めた頃から、アレルギー性疾患を持つ子供が増えていったんだ。

寄生虫は本当に悪?

寄生虫の歴史

日本では昔、フィラリア病の患者が非常に多かった。 この病気の原因が寄生虫という事が判明して、寄生虫は一気に嫌われるようになってしまった。

確かに人間に害を与える寄生虫もいるが、それは殆どの場合、人間を最終宿主としていない寄生虫である。有名なエキノコックスなんかはイヌ科を最終宿主にしているが、イヌに寄生している時は宿主に害を与えることはない。

エキノコックスにとって、人間はイヌ科に寄生する為の中間宿主になるので、様々な症状が引き起こされる。

出典: 驚愕の動画チャンネル, 恐怖の寄生虫

しかし、サナダムシはヒトを最終宿主としていて、長い間ずっと人間と共生してきた。共生している生物は、お互いに利益を得ている場合が多いので、サナダムシは人間から栄養を貰う代わりにアレルギー反応を抑制していたのではないかと考えられている。

理論の証明

15年間サナダムシを飼い続ける

きっかけ

藤田先生は学生時代から寄生虫の研究をしていた。 ある日、サナダムシをすり潰して顕微鏡で観察していると、アレルギーを抑制するかもしれない物質を発見する。

藤田先生は早速論文を書いて学界で発表したのだが、全く相手にされる事はなかったようだ。 それどころか論文を読んだ研究者から、「そんなに健康に良いなら自分で飲めばいいんじゃないの?」とからかわれてしまった。

悔しくなってしまった藤田先生は、自らサナダムシを飲みこんで実験を始める。 実験は長期化し、最終的には15年間にも渡ってサナダムシを腸内で飼い続けることになる。

 
つくし
15年間!?
 
ハカセ
初代~6代目まで飼っていて、それぞれに名前まで付けていたみたいだよ。
 
つくし
名前!?
 
ハカセ
初代がサトミちゃんで、2代目はヒロミちゃん。全員に女の人の名前を付けて可愛がっていたんだって。※実話
 
つくし
・・・。

寄生方法

当時の日本ではまだ下水が整備されておらず、糞便がそのまま川に流されていた。 その為、川魚を生で食べると、かなりの確率でサナダムシに感染してしまう。

藤田先生曰く、サナダムシを寄生させるには「人間の糞便が流れる川で育ったサケ」を食べるのが一番可能性が高かったようで、最後は北海道の石狩川まで、わざわざ寄生させるために出向いていたという。

 
つくし
当時の北海道は開拓されたばかりで、下水の整備がそんなに進んでなかったんだ。

効果があるとしても・・・

ここまで体を張って自分の理論を証明しようとした藤田先生には敬意を表したい。 けれども自分の身体に寄生虫がいるのは、やはりあまりいい気分ではないような気もする。

サナダムシダイエット

少し前にサナダムシを体内で飼うダイエットが話題になった。 アメリカの有名な歌手がサナダムシを体内に飼い、1年で51㎏ものダイエットに成功したというニュースが流れて、爆発的に流行した。

最近の研究ではサナダムシを寄生させる事で、体内の交感神経が活性化して脂肪を燃焼させやすい体になる事も分かっている。しかし、人によってはサナダムシに感染される事で吐き気や下痢を引き起こす可能性もあるので、おススメは出来ない。

 
ハカセ
藤田先生は特に痩せなかったみたいだよ。

購入方法

日本では現在禁止されているので、購入する事は出来ない。

実際にサナダムシがアレルギーを抑制してくれていた事が実証されれば、販売される可能性もあるかもしれない。

サナダムシの生態

大きさ

サナダムシは寄生中の中でも非常に長い。最大で10m以上の個体も発見されている。

 
つくし
10m!?
 
ハカセ
人間の腸は7~9mくらいなんだけど、腸の中で何重にも折りたたまれてるから、腸よりも更に長いんだ。

エサ

サナダムシは寄生した人間の腸内の栄養を吸収して成長する。よく人間の糞便を食べると誤解されているが、糞便を食べているわけではなく、体の表皮から栄養分のみを吸収する事が出来る。

そもそも口や消化管を持っていないので、食べる事は不可能だ。

寿命

寿命は2~4年と短命である。寿命を迎えると、人間の糞便と一緒に排出されるので、死骸が体内に残り続ける事はない。

雌雄同体

サナダムシは雌雄同体なので、一匹だけで繁殖する事が可能なんだ。頭部の下に雄雌それぞれの生殖器をもっている。

まとめ

自然界では他の生物と共生する動物は数多くいる。 「ファインディング・ニモ」で有名なクマノミもイソギンチャクとの間で、持ちつ持たれつの関係を保っている。

 
ハカセ
人間は石器時代から寄生虫と共生していたので、人間側にも何かしらのメリットがあってもおかしくはないんだ。

結局サナダムシが健康に良いのか悪いのかはまだ分かっていないが、藤田先生以外にも寄生虫を研究している科学者は数多くいるので、これからの研究成果に期待しよう。

サナダムシの人気スポット

東京都の目黒寄生虫館では、様々な寄生虫の標本を展示している。 財団法人が運営しているので、入場料は無料となっているので、是非行ってみてほしい。

 
つくし
特に10m級のサナダムシの標本は必見だよ。
名称  : 目黒寄生虫館
住所  : 〒153-0064 東京都目黒区下目黒4-1-1 
休園日: 毎週 月・火 曜日
入園料: 無料 (寄付にご協力を)
営業時間: 10:00~17:00
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